生誕のファサード
前回バルセロナに行ったのはもう20年前になる。2001年のバルセロナの印象は観光都市としてしてすでに成熟していた。
僕が日本との文化の違いを一番感じたのはサグラダファミリアを訪れた時のことだ。当時サグラダファミリアは増築棟を工事中だったが、御構い無しに中に入ることができ、塔に登ることができた。同じことがドイツのベルリン博物館でもあった。
日本のように工事中だから博物館を閉鎖しますという馬鹿げたことはしない。
サグラダファミリヤがこの20年で圧倒的なスピードで完成してしまった。少し寂しい思いがする。未完成の美しさ。人はその中に自分の夢を描き出す。埋め尽くされた建築は人の夢が入る隙間もない。建築とは何なのか。
もっと時間をかけていつまでも建設中であってほしかった。ガウディの夢を想像する楽しみを残しておいてほしかった。