
討論登壇者 畑 祥雄 (国際写真家)
奥居 武 (千里ニュータウン研究)
塚口明洋 (街を歩いて探勝、建築家)
吉村先生との出会い 2011年日本建築家協会近畿支部の仲間で、4つの分科会を作り勉強会を始めました。テーマは伝統建築、近代建築、樹木と街、建築と子供たちでした。僕はこの4つのテーマは、都市の風景を守るための大きな要素だと考えていました。人々の気持ちが、今ある街の風景を作り出していると考えています。樹木と街分科会は建築家の椎原さんが始めました。専門家の人と街歩きをしました。「街(都市)の樹木の維持管理がきっちりとできていない。街の風景を壊している」と憤慨されていました。5年ほど続けましたが、専門家と話しても どうも思ったような方向性が出ませんでした。分科会のメンバーで話し合って、やはりランドスケープデザイナーの第一人者にお話を聞いた方がいいと、万博公園の設計から、新梅田シティの森の設計までされている吉村先生に話を聞くことにし森探訪のお願いしました。
資料紹介 配布資料は吉村先生と一緒に大阪の森探訪を6年間12回にわたり行ったうちの3回のレポートです。
1、千里丘陵に残る森を探訪 まとめレポート
2、万博記念公園の森探訪から学ぶこと
3、千里ニュータウンの森を探訪
🔳 建築家がなぜ都市の森探訪に興味を持つのか
建築家は一市民として街の風景にとても関心があります。
歴史が積み重ねられた風景を大切にして欲しい願いです。
建築家は、都市の歴史、建築の歴史に興味があります。その中でイギリス風景式庭園やハイドパーク、セントラルパークなど都市を構成する重要な役割を持った公園を見てきました。そしてそのような公園がいつまでも大切にされていることを知っています。公園も都市も建築も、思い出の風景として生活に重要な役割があります。
建築、ランドスケープ、街並みの魅力は、映画の魅力とよく似ています。映画の魅力は、監督の人に対する眼差しが基本で、それをどのような映像のシークエンスで観客にイメージを与えるかにあると思います。映画を体験した後のイメージは、その連続した映像全体から観客が持った印象が与えるものだと思います。建築も同じです。建築の印象は、実際にその空間を自分で自由に歩き回り、いろいろな季節や時間に、そこでいろいろな人と出会う体験にあります。建築空間は訪れるごとに違うドラマを楽しむことができます。
ランドスケープも、街並みも同じです。従って設計手法もよく似ています。
万博公園の森探訪で吉村先生が語られた設計のプロセスを聞き驚きました。あまりにも僕が建築を設計する時に考えていることと同じだったからです。
これが森探訪シリーズが12回も続いた理由です。
「Here and There」 全てはここから始まった
「透過性と関係性」
「自然と建築、都市の建築、建築の中の都市」
「人がいて建築がある 自然の中に建築がある」
「思い出に残る風景としての建築」
「活気ある生活の背景としての建築」
「自然の変化を感じる場としての建築」
このようなテーマで空間を組み立て、その中の空間シークエンスを確認する。そのような作業が設計プロセスだと考えていました。
吉村先生の万博公園の設計プロセスも、先ほどの説明にありましたように、質の違う空間を連続させ、その中に多様なシークエンスを作り出すものでした。
1999年完成の巽病院プロジェクトの写真をご覧ください。
http://a-tsuka.com/architecture/welfare01.html



